大判例

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東京高等裁判所 昭和41年(う)1112号 判決

被告人 浜田収

〔抄 録〕

原判決を閲するに、原判決の罪となるべき事実として摘示するところは、被告人は拳銃二丁の外、口径九粍自動式拳銃用実包五発(同押号―原庁昭和四十一年押第四九号―の三、但し、うち二発は試射前のもの)及び口径六・三五粍自動式拳銃用実包九発(同押号の四、但し、うち四発は試射前のもの)を所持していたというのであり、一方、原判決主文には「押収してある実包(口径九粍自動式拳銃用五発―うち二発は試射ずみ及び口径六・三五粍自動式拳銃用九発―うち四発は試射ずみ)一四発(前同押号の三、四)を没収する。」と記載され、所論表現自体において両者の間に相異のあることは所論のとおりである。ところで、記録によれば、原判示口径九粍自動式拳銃用実包五発及び口径六・三五粍自動式拳銃用実包九発は、司法警察員が昭和四十年十月七日被告人からその任意提出を受けて領置した上、これを警視庁科学検査所に送付して弾丸発射能力の有無につき鑑定を嘱託し、同検査所技術吏員において該実包の中から口径九粍用のもの二発と口径六・三五粍用のもの四発とを各試射し、残余の実包並びに右試射にかかる各実包の弾丸及び薬莢が原裁判所に対し検察官から証拠物として提出され、原裁判所においてこれを前同押号の三及び四として押収したものであることが明らかである。そこで原判決は、一部試射ずみのものを含む押収中の実包合計十四発が試射前の状態にあつた当時、被告人がこれを所持していた旨の事実を認定した上、現在一部は試射ずみとなつている押収中の右実包合計十四発を没収する旨の言渡をしたものであることが明瞭であり、没収の言渡をする際の没収の目的物の表示は、判決宣告当時の該物件の状態をそのまま表示すべきことは当然であるから、本件のように犯行を組成した実包の一部が鑑定のための試射によりその性質形状等を変じたときは、仮令同一物件を指称する場合であつても、判決の事実摘示と主文における没収の言渡との間に、目的物の表現の方法について差異の生ずることは毫も怪しむに足りない。それゆえ、原判決には所論のような理由のくいちがいはなく、論旨は、ひつきよう原判決を曲解する謬論であつて、採用すべくもない。

(坂間 栗田 近藤)

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